頻尿(おトイレが近いのは)
尿(おしっこ)は腎臓(じんぞう)で作られ、尿管(にょうかん)を通って膀胱(ぼうこう)にたまります。そして膀胱がいっぱいになると、尿道(最後の通り道)から体の外に出されます。 おトイレが近いのはこの経路のどこかに異常がある可能性があります。
①尿の製造元である腎臓で尿を造りすぎている場合。
1回1回まとまった量が出るのにたびたびトイレに行くという人は、一日の尿の量を測ってみてください。飲んだ量や内容にもよりますが、標準の量(一日で約1.5リットル)よりもずいぶんたくさん、何リットルも出ていれば製造元である腎臓のトラブルが疑われます。 尿の製造をコントロールするホルモンのトラブルの場合もあります。
②尿をためる膀胱の広がりが悪く、一度にたくさんためられない場合。
原因としては、神経のトラブルや膀胱の近くに何かができて圧迫していることが考えられます。 ひどい便秘の圧迫でなることもあります。 また膀胱炎、尿道炎など炎症をおこしたり、膀胱に腫瘍ができて刺激している場合もあります。
③膀胱にたまった尿を1回に全部出し切れず、膀胱に尿が残ってしまう場合。
この場合も神経のトラブルなどにより、膀胱の絞る力が落ちたり、排尿をがまんするための括約筋がうまく開かないことが考えられます。
そのほか尿道に狭く通りにくいところができ、膀胱が尿を絞るのを邪魔され、尿を一回で出し切れなくなることもあります。 原因として尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、前立腺肥大症などがあげられます。 この場合は狭い部分の拡張作業(手術など)が必要になことがあります。なお前立腺がんでも肥大症と同じような排尿障害がみられます。
④骨盤の底の筋肉がゆるみ、尿が漏れやすくなり、その刺激でトイレが近くなることもあります。 何回かお産を経験した女性に多く見られるトラブルです。
⑤尿の製造元も通り道も悪くないのに尿が気になることや、冷えたり水を触ったりした刺激で尿意をもよおす人もいます。
トイレが近いといっても、このように色々な原因が考えられ、多くの人は原因に合わせた治療で改善可能です。 また、ある程度の年齢の人は尿路の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の可能性も無いわけではありませんので、気になったら一度泌尿器科の専門医に相談することをお勧めします。
2009年6月 リビングまつやま掲載