こどもの包茎をむくかむかぬか
亀頭部が包皮に覆われた状態を『包茎』といいます。手でずらして包皮がむけ亀頭が出る人が仮性包茎、まったく出ない人が真性包茎と呼ばれます。生まれた時は、ほとんど全員真性包茎です。これは正常な状態で、おしっこがスムーズに出れば、問題ありません。その後、毎日、自然な勃起を繰り返したり、おちんちん自体の成長につれて、亀頭部と包皮のくっついた部分がはがれていきます。最終的に、亀頭部が完全に露出した状態になる人も出てきます。真性包茎まま年を取ると、むける人よりがんになるリスクが高いといわれています。
さて、包皮は何もしなくても、成長とともに自然にむけていく場合もあるので、トラブルがなければ、思春期を過ぎてからの本人の判断にゆだねてよいという考えがあります。
しかし、真性包茎だと亀頭部と包皮の間にバイ菌が入りやすく、腫れたり痛んだりする可能性が高くなります。そこで、赤ちゃんのうちからむけるところまでむいて清潔にしてあげていれば、炎症の予防にもなるし、勃起時に圧迫されないので、おちんちんの成長にもいいという考えが生まれます。むき始める時期は、寝返りを打たず、あまり心理的、肉体的抵抗がないことから、生後半年以内がベストといわれています。
むくと決めたら、毎日、おむつ替えやお風呂の時に、少しずつむける所までむいて、必ずすぐ戻してあげましょう。最初は、一度医師の指導を受けてから始めると無難です。
ウイークリーえひめリック 2008年3月掲載
男の子の陰嚢(いんのう)が腫れたら
陰嚢(いんのう)は男性の両足の付け根のまたの間にある袋で、中に左右1つずつ精巣(せいそう)があります。精巣は睾丸(こうがん)とも呼ばれています。精巣はお腹の中で発生し、足の付け根(ソケイ部)にトンネル(ソケイ管)を作り、陰嚢の中に降りてきます。
陰嚢(精巣)が腫れた場合、主に3つの病気を考えます。
Ⅰ 陰嚢水腫 精巣の周りに水(火傷の時に皮の下にたまるような水)がたまったもの。子供の間にはソケイ管でお腹の中と交通があります。1歳半までに自然に治ることが多く、また悪い病気ではないのでゆっくり経過をみることができます。
Ⅱ ソケイヘルニア 俗に言う脱腸です。ソケイ管を通って陰嚢に腸が落ちてきた状態です。落ちてきた腸を戻して、腸が通らないようにする手術で治療します。ソケイ管で腸が締め付けられると血の巡りが悪くなり腐ってしまうことがあり、その場合はすぐ手術が必要になります。
Ⅲ 精巣腫瘍 痛みも無く硬く重く腫れてきた場合、腫瘍が疑われます。1年間に10万人当たり1~2人見つかる確率です。腫瘍は大人の病気と思われがちですが、精巣の腫瘍はほとんど子供から若い男性(35歳位まで)にしかおこりません。放って置くと命にかかわります。早期なら悪い精巣を取るだけで済みます。進むと放射線や抗がん剤の治療が必要になります。
Ⅳ 精索捻転 最後に1つの緊急事態。お腹の中から精巣につながる筋を精索と呼びますが、精巣は精索にある血管から酸素や栄養をもらっています。何かの拍子にこれがねじれて血が通わなくなる人がいます。血が通わなくなると約6時間で精巣の組織は死んでしまいます。そのため、緊急で手術をし、ねじれを戻して血流を再開してあげなくてはなりません。多くの子は陰嚢の激痛を訴えますが、下腹部の痛みと感じる子もいます。男の子が下腹部が痛いと言ったら念のためパンツの中を確認してあげてください。片方の精巣を痛がったら精索捻転かもしれません。
ウイークリーえひめリック 2006年2月掲載