尿に血が混じった状態を血尿といいます。
尿に対し0.1%以上血液が混じった場合、目で尿が赤く見えるようになり、これを『肉眼的血尿』と呼んでいます。
『肉眼的血尿を見たら即泌尿器科へ!』これが私が学生時代に泌尿器科の教授から教わり、泌尿器科医になった後学生や研修医に伝えてきたメッセージです。
痛くとも何ともないのに血尿が出る場合が要注意です。膀胱がん・尿管がん・腎臓がんなど、尿路の悪性腫瘍の唯一の初期症状が痛くとも何ともない血尿なのです。
さらに悪性腫瘍による肉眼的血尿は、しばしば何もしないのに止まってしまいます。
悪性腫瘍は細胞の増殖が盛んなので、出血してもそこを腫瘍がふさいで血を止めてしまうのです。
そして、次に出血するまでに何週間も何カ月も何の症状もなく過ぎることがしばしばあります。
残念ながらその間に病気は進んでしまいます。ですから、『肉眼的血尿を見たら即泌尿器科へ!』となるのです。
もちろん、がん以外でも血尿の出る病気はたくさんあります。
尿路結石や感染症、腎臓病(蛋白が尿に出ることが多い)など、早めに治療したほうが良い病気が原因となることもあります。
ほかにも全身性の病気、例えば血の止まりにくくなる病気の初期症状として血尿が出ている場合もあります。
それから受診のタイミングですが、血尿が出ているそのときに調べればどこから出血しているか突き止められる確立が高くなります。
以上のような理由から症状のない血尿が出たときは、できるだけその時に泌尿器科の専門医を受診することをお勧めします。
血尿が出ているときに受診できないこともあると思いますが、血尿が止まった後でも泌尿器科の専門医を受診し、少なくとも悪性腫瘍が否定されるまでは徹底的に検査を受けることをお勧めします。
2004年2月 愛媛新聞社 アクリート掲載